夏のアトピー対策
夏に症状が悪化しやすい原因は、汗、汚れ、紫外線、乾燥です。
汗をかくと、かいた汗が刺激となって痒みがおこります。
気温も湿度も高い夏は、体に熱がこもりやすく、かゆみが強くなります。
皮膚の上の黄色ブドウ球菌などの細菌も繁殖しやすいため、炎症などがあると悪化につながります。ついつい掻きむしってしまうと「とびひ(伝染性膿痂疹)」が生じ、炎症がひどくなります。
また、紫外線を浴びると、活性酸素が体内で多く作られ、皮脂が酸化し過酸化脂質という物質に変化し、バリア機能を壊して、炎症を悪化させます。
夏にアトピー性皮膚炎を悪化させない、必ず行なう2つのセルフケア
①やさしい「洗浄」を欠かさないこと。
②やさしい「保湿」を欠かさないこと。
「洗浄」と「保湿」のスキンケアは季節を問わず必須です。めんどくさがらず、こまめに行なうことが大切です。
やさしい洗浄
アトピー性皮膚炎の肌は刺激に敏感になっているため、少しの刺激でもかゆみを起こします。汚れを洗い流し、清潔に保つことが大切です。ただし、皮膚には「皮膚フローラ」と呼ばれる細菌の集まりが存在します。洗いすぎると皮膚フローラのバランスが崩れ、症状悪化の一因となります。皮膚をゴシゴシ洗ったり、洗浄力の強い洗浄剤を使ったりすることは避けましょう。不要な汚れ皮脂だけを洗いながし、必要な皮脂は残す洗浄が大切です。
やさしい保湿
夏場は汗をかくと同時、皮膚表面の水分が蒸発しやすい状態です。また室内の冷房で実は、乾燥の進む時期でもあります。
入浴後は皮脂が洗い流されて乾燥しやすくなるため、入浴後10分以内に保湿を。シワに沿ってたっぷりと保湿剤を塗るのがコツです。十分な保湿には熱を冷ます効果もあります。
かゆみを一時的におさえるには冷却
アトピーの方は皮膚に炎症が起こっているため、体内に熱を持ちます。冷やすことで炎症や熱感を抑え、かゆみや赤みを和らげることができます。冷たいシャワーを浴びることや、一時的に保冷剤をハンカチやタオルにくるんでかゆい場所に当てると楽になります。
また、実は運動をすることも緩和につながります。
運動後の洗浄は必須となりますが、
汗をかくことで、気化熱などによって皮膚の内部にこもった熱を発散させることができます。
汗をかくことは、デメリットだけではなく、メリットもあります。
・皮膚内の老廃物や余分な水分を排泄する
・汗に含まれる成分が皮脂膜の働きをサポートする
・弱アルカリ性の汗は汚れを洗い流す
・汗には抗菌作用があり細菌の繁殖を防ぐ
アトピー肌の日焼け止め選び
夏場に無防備に紫外線を浴びてしまうと、状態を悪化させることにもつながります。必要ないものはできるだけ塗りたくないのが正直なところ。日焼け止めを選ぶときはできるだけ肌にやさしいものを選びましょう。
「ノンケミカル」「紫外線吸収剤不使用」「紫外線吸収剤フリー」などの記載があるものが基本です。
「紫外線吸収剤」を配合せず、「紫外線散乱剤」のみで紫外線をカットする日やけ止めを「ノンケミカル」と呼びます。
また商品によっては、アルコールが配合されているものもあります。アルコールに過敏な方は刺激を感じることがありますので、配合成分にも注意して選びましょう。
気になる方は、使い始める前に、腕の内側など目立たない部位からお試しいただくことをお勧めします。
参照元:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018
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