はじめまして。
福岡県大野城市の鍼灸院、『鍼灸 room きゅうあん』で代表を務めます、 四元 智己(よつもとともき)と申します。当院では、「小児はり」という子供向けの鍼治療を積極的に行なっています。 現在、ひと月に 150 人から 200 人ほどの子供達が小児はりを受けに来ています。
小児はりとは
「小児はり」を初めて聞いたという方が多いと思います。
小児はりは、夜泣き、疳の虫と言われる乳幼児の自律神経や情緒の乱れ、チック、夜尿、アトピー性皮膚炎、慢性鼻炎など、学童児に見られやすい症状など、 子供が発達していく段階で出現する「お困りごと」を解決するために行われています。
一番の特徴は、刺さない鍼ということ。
鍼と言っても、小児向けの特殊な道具で子供の皮膚を優しく撫でるように触れていきます。そして、3 分から 5 分程度の短い時間で施術が終了するので、小さな子でも安心して受けられます。
最近では、児童発達支援や放課後等デイサービス、保育園などに出向いて施術することもあるんです。
そのこともあって、当院には家族で鍼灸サービスをご利用になる方も沢山います。 また、これから子供を迎える準備のためにご利用になる方も増えています。
子供達が健全に成長し、家族全員が健康でいるために、私たちが提供しているサービスの特徴は、伝統的な東洋医学に基づく鍼灸施術 + 最新の分子栄養学に基づく栄養カウンセリングです。
そんな私たちが、 日々お客様と向き合っていて感じたことや体験したこと、学んだことを、
今回から全 12 回、毎月みなさまの健康のお役に立つ情報をお届けしていきたいと思います。
「健康」って何?
さて、突然ですが。 「健康」ってなんでしょう?
健康観とか健康像というと、人それぞれに違いそうですね。
例えば、
・鍛え抜かれた筋肉に、真っ白く揃った歯並び、こんがり日焼けした肌!とか、
・体のどこを取っても痛みがなく、風のように颯爽と歩けるスリムな自分!とか、
・顔色が良く張りのある美肌で、いつも化粧のりがいい自分!とか。
このように人には様々な健康観・健康像があるようなんです。
しかし、「健康」そのものには定義があるんです。
健康の定義
WHO(世界保健機関)憲章では、 「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、
単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」と 定義されています。
「単に病気でないことが健康とは言え無い」ということなんですね。
東洋医学からみた健康とは
今回は、普段私たちが認識している健康観から少しだけ角度を変えて「人の健康」を見つめていきたいと思います。皆さんが日々健康的に生きている、 とするならば、どんな状態をイメージしていますか? 正常に呼吸をし、食事をとり、消化・吸収し、勉強や仕事、運動などの活動をし、古くなり傷ついた細胞を作り変える。
これらの元になっているものって一体なんでしょう。
それを東洋医学では、【気】として扱っています。
【気】は全ての生命活動の源として、人が病気にならないように働いたり、病気や怪我を治すように働いたり、成長や発達、生殖活動にも深く関わっています。また、それだけではなく情緒や思考をも健全に保つ源になっています。
私たちは、「目には見えない気の状態」を「目に見える現象(症状)」「触れて感じる感覚」を確認することで、体の中 で何が起きているのかを予測していきます。 これが、東洋医学は気の医学と言われる所以ですね。さてこの生命活動を支える気ですが、気そのものも私たちが体の中で作り出しています。
呼吸や食べ物から、体の中の五臓六腑の働きによって気が作られています。
人間の体内にある臓器も、それぞれの役割を担っており活動エネルギーを作りだし生命維持に働いています。
人間の正常な構造と機能を維持しているのは、五臓の働きで作られる気のエネルギーであるという捉え方です。
五臓って、一体なんのこと?
では五臓って、一体なんのことでしょう? それは、 「肝 心 脾 肺 腎」のことを指します。
肝 心 脾 肺 腎
それぞれの内臓そのものと、その機能がお互いに協力しあってバランスが保たれている状態を東洋医学での健康としています。
五臓は、気を作りだし、気の働きと協調しあって、体の中で働く機能、外で働く機能、精神・思考・情緒まで、人間が健 康に生きていくために必要な生命活動を担っています。
逆にいうと、これらの作用が正常に働かなくなると、やがて不快な症状や異常な状態として表に現れてきます。 その様子を捉えて対処していくことで、健康に戻る助けとなるのです。
次回からは、体の表に現れる症状や状態は、体の中のどんな機能と関係しているのか、そして、どんな対処をすればそれ が良くなるのかについてお伝えしていきたいと思います。
普段は東洋医学を詳しく触れる機会がないと思います。 東洋医学の理屈をちょっとだけ知って、次回からご紹介する様々な症状に対する【ツボ】を押さえて、ご自身や大切なご家族のセルフケアにお役立ていただければと思います。