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妊娠準備と分子栄養学

お盆休みなどで、少し投稿が遅れてしまいました。 お久しぶりです。
前回までで、東洋医学の五臓の特徴や皆様の健康に役立つツボのご紹介をさせていただきました。
ちょっと聞き慣れない言葉や、日常の捉え方とは少し違う角度から人間の機能を見ていきましたので、まだまだ疑問な点も沢山あると思います。当院のホームページでもブログで様々な事例をご紹介していますし、オフィシャルLINEで様々なご質問を承っております。どうぞお気軽にご利用ください!
オフィシャルLINE >> リンク https://lin.ee/t7mhS5Z

分子栄養学
分子栄養学

さて、当院には妊娠準備のために沢山の女性が鍼治療に来られています。
お客様から「元気な子を産みました!」と嬉しいお知らせをいただく度に、鍼灸施術は妊娠に向けた体づくりにピッタリの治療法だと、心から実感しております。
また、当院では「三才(さんざい)」という中医学の思想を大切にしてお客様への治療に臨んでいます。 三才とは『天・地・人』のこと。天と地の間に人が生きているのですから、人は鼻から天の気(呼吸)を口からは地の気(栄養)を取り入れて健康を保っているという原則です。
鍼灸治療と少しのストレッチで、浅い呼吸をスムーズに深い呼吸に改善します。さらに、当院ではお客様の栄養カウンセリングを行っています。問診やアンケートと臨床症状から、不足している栄養素を割り出してお食事のアドバイスをしております。また、極度に不足している栄養素や通常の食事だけでは補い難いもの、もしくはお客様の消化器が不調で吸収能力が低下している場合はサプリメントの提案もしております。
その栄養サポートの元となっているのが、本日ご紹介する【分子整合栄養学】という新しい栄養摂取の考え方です。 

分子整合栄養学とは?

生体内に正常にあるべき分子を至適濃度に保つ十分量の栄養素を、摂取することによって生体機能が向上し、病態改善が得られる治療法。
至適濃度(=最適な濃度)とは?
病気などのトラブルが生じた状態を、ある期間で最適な状態に整えるために必要な分子(栄養素)の濃度。
 ・分子は全ての食材に含まれている
 ・分子の濃度が細胞の機能を左右する
 ・最適な濃度には、個体差が存在する
 ・最適な濃度は、通常の食事からでは得られない

分子栄養学とは

自らの自然治癒力を高め、病気の進行を防ぎ、症状の改善、さらに病気の予防を目的とする。
従来の栄養学との違い
根本的な考え方として従来の栄養学との違いは、
■従来の栄養学
 ・欠乏症でなければ、正常である。
  例えば、脚気でなければ、ビタミンB1は足りている。貧血でなければ、鉄は足りている。
と捉えているのに対して、
■分子整合栄養学
 ・潜在性の欠乏状態がある。
  例えば、生体の機能低下、トラブルが生じる。
  生体の最適な状態のための必要量には、個体差が極めて大きい。

分子整合栄養学(栄養療法)の歴史

1960年代にアメリカ、カナダなどで始まった ライナス・ポーリング博士(アメリカ)
エイブラハム・ホッファー博士(カナダ)
二人の医師が分子西方栄養学を医療へ応用し、研究や論文発表をう通じて世に知らしめた。
その後、時代と共に発展しながら現代も様々な診療科において栄養療法が導入されつつある。
特に、日本では精神科領域において栄養療法を取り入れる医師が増えてきている。
日本では、
三石巌先生(物理学者)が、科学的な根拠をもとに様々な栄養科学について書籍を発刊してきた。

「赤ちゃんが欲しい」と思ったら、まずは栄養から見直しましょう!

糖質過多

現代型栄養失調(質的栄養失調)を知る。
まず現代食について考えてみる。
私たちは外食やテイクアウトなどで加工品・添加物を多く含む食事を慢性的に摂取していることや、お米や小麦製品(麺類やパン)など炭水化物(=糖質)は大量に取っているが、お肉やお魚、卵などのタンパク質を十分量取れていないこと、野菜やキノコ類を嫌い食物繊維の摂取も減少しています。現代日本人の食事は、「貧食」であると言えます。
カロリーは十分過ぎるほどあり、食物繊維やタンパク質が足りない食事をし、糖質過多による血糖の乱高下が、多くのストレスホルモンを分泌させています。
まず意識していただきたいのは、食物繊維やタンパク質をしっかりと食べ、糖質を可能な範囲で制限することです。
現代食をしている女性が特に不足しているビタミンB群やミネラル特に鉄はサプリメントでの補給が望ましい。

次に、赤ちゃんを迎えるために絶対に押さえておいた方が良い栄養情報をお伝えします!

卵子・子宮内膜、女性ホルモンの機能に最善の栄養摂取とは?

意識したいのは、妊娠を望む女性が最も重視するべきは、慢性的な貧血に対処することです。
慢性的貧血に対処すると、妊娠だけではなく頭痛や月経痛、肩こり冷え性、皮膚のトラブルも改善できるかも知れません。
これから紹介する栄養素にはかききれないほど沢山の作用があります。ここでは女性の妊娠や美容や健康に役立つ部分をピックアップしてご紹介していきます。

●ヘム鉄
 ・酸素を運搬し細胞への取り込みに関与する
 ・エネルギー産生
 ・成長を促進
 ・造血に関与する
 ・全身の機能を高める
多く含む食品・・・豚鶏牛レバー、赤身肉、赤貝、ひじき、岩のり、大豆

●ビタミンB群
 ・あらゆる酵素の補酵素として働く。エネルギーをつくる。脳神経系の機能を維持する。
 ・糖質、脂質、タンパク質からエネルギーを産生する。
 ・アルコールを代謝して二日酔いを防ぐ。
 ・脳神経系の神経伝達物質の合成。
 ・乳酸代謝で疲労回復を促す。
 ・消化液の分泌を促す。
 ・口内炎を予防する。
 ・免疫抗体を合成し、免疫力を強化する。
 ・副腎皮質ホルモンの分泌を促し、ストレスを緩和する。
 ・皮膚や粘膜の健康を守る。
 ・頭痛を改善。
 ・月経前緊張症を改善する。
 ・脂肪肝を抑制する。
 ・造血作用。
 ・抗アレルギー作用。アトピー性皮膚炎を改善。
 ・血行促進。
 ・胃腸障害を緩和。
 ・胎児や乳児の健全な成長を促進する。
 ・脳の発育を助ける。
多く含む食品・・・鶏牛豚レバー、卵、タイ、うなぎ、ししゃも、イワシ、ぶり、シジミ、アサリ、モロヘイヤ、玄米など

●ビタミンC
 ・風邪を予防する
 ・疲労回復を助ける
 ・コラーゲンを合成する
 ・皮膚、骨、筋肉、血管を強化する
 ・過酸化脂質を除去する
 ・鉄の吸収促進
 ・出血や溶血の抑制
多く含む食品・・・カキ、レモン、ブロッコリー、パセリ、パプリカ、ジャガイモ、キウイ、イチゴ

●ビタミンE
 ・強力な抗酸化作用で、血液の酸化を抑え、お肌のシミやくすみや動脈硬化を予防する。
 ・血管を若々しく保ち、血行が良くなり冷えが改善し、老化を防ぐ。
 ・女性ホルモンの生成を助け生殖機能を維持する。
多く含む食品・・・ヒマワリ油、アーモンド、カボチャ、たらこ

●ビタミンA
 ・高い抗酸化作用、活性酸素によるダメージを予防。
 ・鼻、のど、肺などの粘膜の材料となり感染予防する。免疫を強化しガンを抑制。
 ・胎盤や精巣の機能を維持する。
 ・皮膚、爪、毛髪の細胞を活性化させる。
 ・タンパク質(アミノ酸) 身体の土台、血液、ホルモン、酵素など

●亜鉛
 ・各種酵素反応の活性化
 ・細胞の新生により新陳代謝を向上させる
 ・生殖機能を向上させる
 ・DNAやタンパク質を合成する
 ・免疫反応を調節する
 ・味覚を正常に保つ
 ・脱毛を予防する
多く含む食品・・・カキ、牛肉、豚レバー、ナッツ類、穀類

妊娠を望むのならば、まずはバランスの良い食事!
特に肉食野菜たっぷりの食事にして、炭水化物やお菓子などの摂取をできる限り減らしましょう。
どうしても食事で動物性のタンパク質をたくさん摂ることが大切です。お肉や魚が苦手な方は、卵を活用すると良いでしょう。  その上で、ビタミンB群ミネラル(鉄や亜鉛)など、ストレス、糖質の過剰摂取、飲酒、妊娠、授乳期などで消費量が増大するものは、食事以外にサプリメントで補給することが望ましいですね。
栄養療法の詳細については、冒頭でご紹介しました公式LINEへのメッセージなどでいつでも承っております。
お気軽にお問い合わせください!
次回は、「妊娠期間中のトラブルを予防する」をテーマにお届けしますね。それでは、お元気で!

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このコラムの監修者

 

鍼灸roomきゅうあん 代表四元 智己 先生

国家資格: 鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師
出身大学: 成蹊大学工学部(体育会ラグビー部所属)

<経歴>
成蹊大学工学部卒(体育会ラグビー部所属)
外資系医療機器メーカーにエンジニアとして勤務
難病を患った父との闘病生活をきっかけに東洋医学の道を志す
東京衛生学園専門学校東洋医療総合学科へ入学
働きながら夜間部に通い同校を首席で卒業
福岡県太宰府市できゅうあん鍼灸治療院を開業
福岡県鍼灸マッサージ師会会員