大阪大学名誉教授 吉森保先生
阿波晩茶×オートファジーの最前線。大阪大学名誉教授・吉森保先生
【老化を防ぐ“新しい常識”:前 編】
【阿波晩茶とオートファジーの可能性:後 編】
大阪大学名誉教授 吉森保先生のご紹介
大阪大学名誉教授・同大学院医学系研究科寄附講座教授
1981年大阪大学理学部生物学科卒業。
同大学院医学研究科博士課程、関西医科大学助手、ヨーロッパ分子生物学研究所(EMBL)博士研究員を経て、1996年オートファジー研究のパイオニア大隅良典先生(2016年ノーベル生理学・医学賞受賞)が国立基礎生物学研究所にラボを立ち上げられたときに助教授 として参加。
2002年国立遺伝学研究所教授就任、その後大阪大学微生物病研究所教授を経て2010年大阪大学大学院生命機能研究科及び医学系研究科教授。2017年大阪大学栄誉教授の称号授与。2018年〜2022年生命機能研究科長。2024年定年退職後、現職に。
文部科学大臣表彰科学技術賞(2013年)、日本生化学会・柿内三郎記念賞(2014年)、Highly Cited Researchers(2014, 2015, 2019, 2020, 2021, 2022年)、上原賞(2015年)、持田記念学術賞(2017年)、紫綬褒章(2019年)を受賞。
日本細胞生物学会会長(2016〜2018年)。
2019年大学発ベンチャーAutoPhagyGO Inc.を創業。
一般社団法人・日本オートファジーコンソーシアム(代表理事:2020年〜2023年、理事:2024年〜)
論文の総被引用数が、分子生物学領域で国内2位、世界22位(2019年)。
【前編】
「オートファジーとは何か?健康寿命をのばす鍵を探る」
今回のHOLO TALKでは、オートファジー研究の第一人者である
吉森保先生(大阪大学名誉教授) をお迎えし、“細胞のリサイクル機能=オートファジー” について深く伺いました。
■ オートファジーとは?
細胞の中で不要なタンパク質や壊れた細胞成分を分解し、
新しいエネルギーとして再利用する仕組み のこと。
例えるなら、
「細胞の中のパックマン」 がゴミを食べ、きれいに保つイメージです。
毎日、私たちの細胞の中ではこの循環が起きており、
オートファジーが正常に働くことで、
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老化の抑制
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病気の予防
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細胞の若返り
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免疫機能の向上
など、多くの恩恵が得られます。
■ 老化の本当の正体 ─ 慢性炎症とオートファジー低下
吉森先生によると、
**老化とは“慢性炎症の蓄積”**であり、オートファジーの低下と強く関係しています。
加齢とともにオートファジーは必ず弱まり、
すると細胞に「ゴミ」が溜まり続け、炎症が続き、
病気のリスクが跳ね上がります。
動物実験では、オートファジーを適切に保つことで
寿命が1.2倍に伸びたという非常に興味深い結果も。
■ 日本の社会課題:健康寿命10年のギャップ
医療が進んだ日本ですが、
“寿命” と “健康寿命” には 約10年の差 があります。
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最後の10年は、病気や介護と隣り合わせ
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社会保障費は増え続け、国の医療費も限界に
吉森先生は、
「死ぬまで健康でいられる社会をつくりたい」
という強い想いで研究を続けられています。
■ これからの医療は「治療」から「予防」へ
食事・睡眠・運動。
この3つの生活習慣は、すべてオートファジーを活性化する重要な要素。
科学的な根拠があるからこそ、
日々の習慣が“未来の体をつくる” ことがわかります。
HOLO TALK前編では、
この「オートファジー×健康寿命」の本質をわかりやすく解説しています。
【後編】
「阿波晩茶の発酵、腸、心のつながり ─ 人が健康で幸せであるために」
後編では、HOLOが大切にしてきた “阿波晩茶” の研究を通し、
腸・免疫・メンタル・老化 がどのように関係しているのかを深く掘り下げます。
■ HOLOと吉森先生の出会い
HOLO TALK 第1回ゲストの直原廣明先生からのご縁で、
「阿波晩茶を研究している大阪大学の先生がいる」と紹介をいただき実現した対談。
HOLO TEAの開発背景にも触れながら、
阿波晩茶の“発酵の力”と“健康科学”がつながっていきます。
■ 老化は「慢性炎症」の病
後編では、吉森先生が特に重要と語る
慢性炎症(インフラメイジング) にフォーカス。
老化の共通項であり、病気の多くがこの延長線上にあること。
運動後の筋肉痛の例など、身近で理解しやすい説明が展開されます。
■ 発酵と菌のちから ─ 阿波晩茶が特別な理由
発酵食品には、
オートファジーを強く活性化する分子 が多いことが知られています。
吉森先生の研究では、
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カテキンより強い活性
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発酵によって“元の茶葉にはない成分”が生まれる可能性
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阿波晩茶は特に独自の発酵をしている
など、非常に興味深い発見が語られています。
■ 腸内細菌フローラと免疫・老化の関係
後編の中盤では、
腸とオートファジーの関係へと話が展開。
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腸内細菌と免疫のつながり
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潰瘍性大腸炎やクローン病とオートファジー遺伝子
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良いフローラが寿命を左右する
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食事が腸をつくる
腸の健康が老化速度にも影響することがわかります。
■ メンタル・ストレス・人とのつながり
後編の後半では、心の健康に話題が広がります。
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ストレスホルモンがオートファジーを抑制する可能性
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睡眠・食事・運動がメンタルを守る役割
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人間関係が希薄な男性が短命になりやすい理由
「心と体はつながっている」
そんな本質的なテーマに触れています。
■ 好奇心と幸せ ─ 吉森先生からの未来へのメッセージ
最後は、吉森先生らしい温かいメッセージで締めくくられます。
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幸せの土台は“健康”
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その上に“好奇心”がある
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目標がなくても、興味があれば進んでいける
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若い人へのエール
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産学連携で未来をつくるビジョン
科学を越えて “人としての生き方” に響く内容です。
オートファジーの最新研究から、老化・炎症・腸・発酵・メンタルまで、
人が「健康で幸せに生きるための本質」を学べる内容 になっています。
阿波晩茶の可能性だけでなく、
私たちが日々どう生きるか、どうケアしていくか。
一人ひとりの未来の健康に役立つヒントが詰まっています。
